特定非営利活動法人子どもネットワーク可部 第5回鑑賞事業

ベッカンコおに
劇団えるむ公演
原作:さねとうあきら
脚色演出:ふじたあさや
美術:朝倉摂

安佐北区民文化センターホール 14:30〜
会員外大人2900円 会員大人2000円 高校生以下900円


社会福祉・医療事業団の助成金を子ども料金に還元しています。




鬼って一体なんだろう?」
十数年前に見た「ベッカンコおに」のこの挿入歌が今も耳について離れない。
鬼は、だれの心の中にも棲んでいる。
けれど、それは、外見や立場からはわからないもの。
いじめや、虐待、学級崩壊、通り魔による事件の続発・・・
十数年たった今も子どもたちの置かれている状況は依然として良くなってはいない。
だからこそ、もう一度問い直したい。
「鬼って一体なに?」



NPO法人子どもネットワーク可部を発足させるにあたって、「私達が本当に子ども達と見たい作品をたった一つ選ぶとしたら?」と真剣に考えて選んだ作品。とにかくたくさんの子どもたちにこの作品を見てほしい。そんな思いで助成金を子どもの料金に還元しました。
もちろん大人料金もこれまでの鑑賞事業に比べるとかなり安くなっています。
今回は1つの子ども会が演劇鑑賞としてとりあげてくれました。


「ベッカンコおに」を選んだとき、「なぜ今ベッカンコおになの?」「今の子どもたちに受けると思ってるの?」「本当にちゃんと考えてるの?」と周りから疑問がたくさんはねかえってきました。実行委員会では、「いいものはいい。絶対に今の子どもたちにも伝わるはずだ!」を合言葉に必死になって取り組みました。
事前座談会などを踏まえ、むかえた当日。たくさんの人が「ベッカンコおに」を見に来てくださいました。
劇団の方・スタッフのすごい熱意はきっと伝わったはずです。



当日のロビーの飾りつけ。
たくさんのススキやイガ栗などを持ってきてくれました。


スタッフミーティング。劇団えるむの石井さんの心配りがとても印象的でした。



■アンケートより
(子どもの声)
・たのしかった
・おもしろかった。
・楽器がとてもよかったです。
・迫力がすごかった。鬼の顔がおもしろかった。
・おもしろいのかつまらないのか、よくわからなかった。
・迫力があってすごくおもしろかった。また見てみたい。
・楽しかったです。ベッカンコおにがおもしろかったです。またみたいです。おにはやさしいと思った。殺されてかわいそうだtった。
・とてもかわいそうでした。おにはとてもやさしいと思いました。わたしもおには怖いものだと思っていたけど、これをみてだれもおにを見ていないのに、かってに思っているだけだなぁ、と思いました。
・たのしかったようなたのしくなかったようなきがした。
・おもしろかったです。やさしいおにだなぁとおもいました。
・おもしろくてドキドキした。おもしろかったのはおにのかおとあるきかた。
・おにのことがよくわかりました。
・感動した。何かを感じたのは確かだけど、それが何なのかはわからない。
・本当に「おにってなに?」と思った。
・最後にユキが鬼になって踊るところがスゴかった。またみたい。
・おゆきがいきなりおにになったのでびっくりした。
・ユキが本当に目が見えなかったように見えてすごくよかった。劇団の人がすごくわかりやすくしていた(演技がうまい)ので見ていてとても楽しかったです。来た甲斐がありました。またあったら来たいです。
・最初は「ベッカンコ」って何かな?とおもったけれども「あっかんべー」のことなんですね。人も鬼になれるっていってたけれども、本当にそうだなぁと思いました。むしろ、人のほうがオニに似合っているのかも・・このお話には考えさせられました。
・てっぽうをうつところがおもしろかった。ユキが鬼になっているとき紙がおちてきてそれがきれいだった。
・かわいそうだった。
・ベッカンコおにが光ってる花を見つけても、鉄砲で撃たれても、がんばっておユキに目をあけてあげたのがすごかった。
・たのしかった。こわかった。緊張した。
・おにはいろいろいるんだな。
・おもしろかった。あいさつに出て嬉しかった。
(大人の声)
・大変良かったと思います。最後の踊りがすごいと思いました。鬼について考えることが多くあったと思います。
・涙が出ました。声をかけてくださってありがとうございました。
・とっても良かったです。外見で人を判断してはいけないということを、今一度教わったような気がします。
・とてもよかったと思う。心に残る作品になるだろうと思います。
・人と人との関係というものは大変だと思いました。争いごとの無い、みんなが仲良く暮らせるときがあるといいと思います。
・大人には理解できたけど、小さい子には少し怖かったみたいです。
・もう少し多くの人に見て欲しい。小中学生が見ればよいと思う。大人もとりかたによっては、考える良い機会になった。
・不覚にも涙がでてしまった。良かったです。低学年以下には少し難しかったかもしれないけれど、深い内容で、考えることが山積みの私です。
・始めて見せていただきました。みなさんお行儀がよく、びっくりしました。子どもがしっかりと見ておられました。
・今日はとても楽しかったです。
・このような形の表現を、子どもたちに見せてあげたい。善悪の心の教育の大切さが、今忘れられかけているのでとても感動を受けました。ありがとうございました。
・鬼は、人の中の異端であるかもしれないが、人そのものである。異端であるとは何なのか?人にとってなくてはならない大切なものかもしれない。
・素朴で、温かみがあって、とってもすきだなぁ、こういうの・・・。無駄を省き、感動がじかに伝わってくる。昨年、野外活動センターでボランティア講座を受講し、今年はわくわく探検隊で炊飯係をお手伝いさせてもらいました。何かと通じるところがあり、嬉しく思いました。これまで保母の仕事をしてきたおかげかな・・いい出会いに感謝しています。歌声もきれい。出演者みんな上手!
・本格的な舞台で、子どもたちも最初は怖かったようですが、見ているうちにドンドン中に入っていました。
・久しぶりに良い作品を見ました。
・主人と息子が「ベッカンコおに」を観劇いたしました。6歳の息子には少々難しく、細部は説明を受けながらだったようですが、登場人物があるきっかけで急にオニに変身することの恐ろしさや、オニなのに温かい心を持っていることを不思議な気持ちで見ていたようです。子どもネットワークの活動を知り、とても興味を持ちました。会員になりたいと思いますが、どのパターンで入会するのがよいか考えております。主人は子どもスタッフの活躍に驚いていました。(後日ファックスより)






■うーぽんの感想。
 私もなんで、みんながベッカンコベッカンコというのかわかりませんでした。実行委員会で、「とにかく良いんだから!!」「絶対面白い(楽しいという意味ではなく)から!!」と力説する見たことのある人たち。何がどうなんだろう?原作の本やパンフレットを見て、内容はわかる。むしろ何が言いたいのかわかりやすすぎるくらい。これをどう舞台にするのか。・・正直なところあんまり興味はありませんでした。気になったのは美術:朝倉摂くらい?(笑)
 当日、途中休憩がありました。劇団えるむの制作担当の石井さんがロビーにいらっしゃって、そこに小さな(小学生低学年以下くらい)女の子が、石井さんにかけよって、「おにって一体なに?」と聞いたのです。びっくりしました。こんな小さな子が、それを感じながら観ていることに。それを感じさせる舞台であることに。石井さんが「何だろうね。ゆっくり考えてみてね。」と答えていらっしゃいました。
 私の舞台の感想としては・・・まぁいろいろあるのですが、とにかくその休憩時間のそのやりとりが強烈に印象づきました。そして、小さい子だからといって、大人が勝手に「子どもには難しい」「今の子どもには面白くない」と決め付けるのは本当に間違ったことなんだな、と思いました。
 ベッカンコおにが一つの節目として、またこれから子どもネットワーク可部は前に進んでいかなければなりません。「いいものはいい」を信じて。(でも人の言う「オススメ!」「絶対いい!」は一番信用していない私なのでした。(笑))