2004年6月12日(土) 10:00〜13:00 広島青少年センター
空の子ども達が2月に開催した「森住卓写真展・イラク湾岸戦争の子ども達」の取組みで出会った、大江厚子さんたちからの呼びかけで実現しました。大江さんたちセイブ・ザ・イラクチルドレン広島の招きで現在広島大学病院で研修中の医師ハッサームさんと、イラクに滞在経験のある大学生の谷澤さんのお話を聞きいて交流しました。
現在、イラクのことは、毎日のようにテレビや新聞で取り上げられています。6月末の政権移譲を前にゲリラ活動も活発になり、自衛隊の多国籍軍への参加決定など・・・問題は山積していますが、そんな中でも一般の市民達の生活は、綿々と続いています。
子ども達が「戦争は正しかったと思いますか」と質問したとき「どの戦争ですか?」とハッサームさんが問い返したように、何度も繰り返して起こっている戦争、紛争をどのように考え、どんな国になってほしいと思っているんだろう?
空の子ども達も5月からやっている英会話ワークで先生と一緒に考えた質問をもって、この交流会に参加してきました。
![]() |
Dr.Hussam Salihさん |
現在、広島大学で研修中のHussamさんは、医者としてイラクの病院で出会ってきた子ども達やの現状をスライドで紹介しながら話してくださいました。
湾岸戦争後、イラクでは、先天性異常で生まれてくる子ども達(無脳症・水頭症など・・・)の割合が増加していること、また、大人の癌に加えて、小児がんの発生率が高くなってきていることそしてそれが、10年前の湾岸戦争の際に米軍が使用した劣化ウラン弾の影響と見られることなどを、実際の写真やデータを下に報告されました。
出てくる子ども達の写真の下には、“died(=死亡)”という文字が見えました。中には、十分な治療ができれば助かった子どももいるかもしれません。また、こんなにたくさんの子ども達の“死”に向き合わなければならないイラクの医師たちのつらさや無力感を思うとき、とてもやりきれない気持ちがしました。
(当日は、用意していた資料が足りなくなって、あわてて印刷に走ったほどの参加者数でした。)
![]() |
谷澤 壮一郎さん(SOICHIRO TANIZAWA) 滋賀県大津市出身。21歳。宇都宮大学国際学部3回生。 イラク滞在3回。『イラク旅行記』をWebサイトに載せたり、 東京新聞に掲載中。夏よりインドネシアに留学。 |
「日本で毎日のように流れているニュースを見る限り、イラク中で戦闘が起こっているのかと思いがちだが、大部分は割合と静かな日常が流れている・・・そのことを前程にぼくの話を聞いて欲しい」という意外な言葉から彼の話は始まりました。
今回の戦争についてイラク人はどう考えているかというと、「フセインを倒してくれたのだから正しかった」という意見と「フセインは確かに悪かったけれど、もっとほかのやりかたがあったはずだ」という意見に分かれるそうです。自分としては、この戦争は間違っていると思っていたのだが、イラク人と話してみて自分の考えが揺らいでいるということも率直に話してくれました。
彼が見せてくれた写真のイラク人たちは、多くが微笑んでいて、Hussamさんから「イラクの人たちが苦しんでいる現状も話して欲しい」と注文が出るほどでしたが、子ども達にマスコミの報道を鵜呑みにして“先入観”を持ってイラクのことを考えてほしくない、自分の目で確かめ、自分の頭で考えて欲しいということを伝えたかったのだと思いました。
もっと時間があれば聞いてみたいことがたくさんあったなと、少し残念に思いました。
Hussamさんには、昼食後の交流会では、子ども達からの質問にていねいに答えていただきました。つたない英語ではありましたが、
何気ない質問の中にイラクの現状にきづかされる大事なことが含まれていたように思います。
【 参加した子ども達の感想 】
(@どんな質問をしましたか? Aどんな答えでしたか? B交流会の感想 )
@ Can you opelate on the pation in Iraq?(イラクで手術はできますか) A できるけど、麻酔とかは充分じゃない。 B 谷澤さんとフーサムさんお話はまったく違っていておもしろかった。いろんな人から見たイラクというのがどんなのか知りたい。きっといろいろなことに視点をあてる人がいておもしろいと思う。今回、普通のイラクみたいなものを見れてよかった。 (中3・AIちゃん) |
@ Are there any safety zoon? (イラクに安全地帯はありますか?) A 基本的にはないけど北部のほうはちょっとは安全かもしれない。 B 英語ばっかりってやっぱりきついです。もう、マジでちんぷんかんぷん。もっと、勉強せねば!!と思った。 (中1・YUUちゃん) |
B 谷澤さんのおはなしが興味深かったです。 フーサム先生の話は医者としての劣化ウラン弾の被害を見たもので深刻な場面を伝えていたのですが、谷澤さんは日常のイラクの人たちをとらえた話でした。露天を出していたり、テレビでサッカーを見ていたり。でも、やはりテロなどで家を爆破されることもある・・・。それらがごちゃごちゃになっているのがイラクの現状だということがよくわかりました。できれば、またお話を聞きたいです。 |
★劣化ウラン弾講座★ 子ども達の作った「劣化ウラン弾講座」を、当日通訳を務めてくださった、中島さんに英訳していただいたものを、フッサーム先生にお渡ししました。 壁に貼った掲示と両方を眺めながら、「とてもよくできていますね!」と感心してくださいました。 |