第8回委員長記 2003年の鑑賞事業について
*もうすぐ新しい年
あっという間に12月、町にはクリスマスソングが鳴り響いています。
まもなく2003年、今回は、すでに決まっている作品の中から、3月の「北 京一・ソロマイム」および、2003年鑑賞企画として決定した作品についての報告です。
*2003年3月14日(金) 「北 京一」ソロマイム 安佐北区民文化センター・ホール
この作品は、パンフ外作品として、すでに昨年の企画総会で決定しているものです。
また、今年度交付された、社会福祉・医療事業団の助成事業としての最後の鑑賞事業でもあります。
北さんのプロフィールについては、チラシなどでもお知らせすることになると思いますので、改めてここに掲載することはしませんが、北さんについて、私の個人的な思いを、綴って見ようと思います。
最初の出会い・・・
出会い・・といっても、直接出会ったわけではないのですが、今から20数年前、大阪に住んでいた私の前に彗星のごとくデビューした、漫才コンビがありました。
そのメンバーは「北 京一・京二」
テンポのある、しかもいわゆる下品なネタで笑わせるのではなく、本格的な漫才コンビで、『おもしろい新人が出てきた!』と、内心注目していました。もちろん、あっという間に人気者になっていきました。
しかし、その活動は1〜2年で終わってしまい、私たちの前から、北京一さんはいなくなってしまったのです。
いったいどこへいったんだろう?何をしてるのかしら?・・・と思っていたら。
ミュージシャン「北京一」との出会い
数年たって私たちの前に現れた『北京一』は、なんと!ロックバンド(正確にはR&Bですが)のメンバーになっていたのです。
当時大阪の若者にとっては、とてもメジャーなイベントの一つに「8・8ロックデイ」というコンサートがありました。
そのコンサートに、彼は「ソー・バッド・レビュー」というバンドのボーカルとして現れたのです。
しかも、今でもそのバンドは伝説的な存在になるほど、ソウルフルで、素敵な演奏を聞かせてくれました。
「そっか〜・・彼は、本当はこれがやりたかったのか・・」と思っていると・・・
そのバンドはすぐに解散し・・・またまた、「北京一」は、私たちの前からいなくなってしまったのです。
パントマイマー「北京一」との出会い
それから数年・・・ある日、なにげなくテレビを見ていた私の目の前に、突然彼は現れたのです。
それも、今度は、パントマイマーとして・・・
どんな番組だったかはすっかり忘れてしまいましたが、彼のパントマイムを始めてみたときに、鳥肌が立つような感動を覚えたことをいまでもはっきり覚えています。
そして、それまで、何度も私たちの前からいなくなっていたのは、海外でパントマイムの勉強をしていたのだということをその時に知ったのです。
「そうだったのか・・・この人はパントマイムをするために生まれてきたんだ・・」と思わせるくらい、すばらしいマイムでした。
けれども、その後広島に移ってからは、「北京一」の名前を耳にすることはなくなっていました。
再会
そして、数年前、当時の市協議会から、「今度、『北京一』って言う人の公演が、小学校であるらしいんだけど、行ってみない?」という情報が入ったのです。
「え〜っ!!『北京一』!!」「知ってるの?」「もちろん!絶対に見に行く!!」
公演当日、私はFさんと一緒に、朝早く車を走らせて、西区の小学校へ向かったのです。
朝のラッシュの影響もあって、少し遅れて到着した時には、公演が始まっていました。
体育館のドアを開けて、席につくまでの間に、Fさんが私にささやいたのです「これは、本物だね・・」
そう、会場に入って数分間で、Fさんが「鳥肌がたったよ!」と言ったくらい、その公演は素晴らしいものでした。
一緒に鑑賞した、他の劇場の方も「これは、ホールで見ても大丈夫な作品ですね」と感動していました。
その作品は、芝居仕立てになっていて、数人のキャストがピアノとチェロの生演奏をバックに上演されていたのですが、北さんは、おもちゃのロボットの役で、最初から最後までパントマイムで演じていたのです。
Fさんが『鳥肌が立った・・・』と言ったのは、もちろん、北さんの演技に対しての感想です。
いいものはいい
その後、パンフ外でなにか良い作品はないか・・と検討することになった時に、一番の彼のことが頭に浮かび、広島で、かれのプロモートをしている会社へ問い合わせたのです。
残念ながら、前回私たちが鑑賞した作品は、現在は上演されていないということなのですが、北さんのソロマイムなら・・ということで、今回の企画が実現しました。
パンフ外作品ではありますが、関西の劇場では、何回も例会として取り上げているところがたくさんあります。
もちろん、その感想も好評です。
余談ですが・・
12月に今年最後の鑑賞事業として企画した「シタール&タブラーコンサート」の田中さんは、以前、北さんと一緒にステージを作ったことがあるのです。
互いに同じイベントに出演していたときのこと、北さんから「今度一緒にやってみませんか?」と声をかけられ、その後、北さんがお弟子さんや仲間と一緒に公演している舞台に招かれ、田中さんのシタールに合わせて、北さんが即興でパントマイムを演じられたそうなのです。
その舞台を見ていた、奥様の田中りこさんは「本当にきれいな動きをされる方ですよね!パントマイムについてのこれまでの認識を全く覆されるくらいに素敵な舞台でしたよ!!」とおっしゃっていました。
私も、その舞台を見たかった・・・と、つくづく思っています。
*2003年鑑賞事業について
日程が決まりました。
<2003年10月16日(木) オペラアンサンブルこんにゃく座「どんぐりと山猫」>
今年度の企画総会で決定した作品「どんぐりと山猫」の日程が決定しました。
当初は9月を希望していたのですが、2003年企画の希望作品としてこの作品をあげている劇場が多数あり、、また劇団側の事情で、9月の実施は難しいということになり、あとは、公演会場の空き状況、他劇場とのコース作りなどを考慮して、他の劇場と調整した結果、この日程に決定しました。
前回の委員長記にも書きましたが、この作品は、参加型の作品で、小学校2年生〜中学校2年生の子どもたち約30人が、事前に、こんにゃく座の方からワークショップを受けて、公演当日一緒に舞台にキャストとして参加できます。
こんにゃく座は、作曲家の林光さん(劇場の皆さんには「森は生きている」で有名ですね。)が、それまでの、いわゆるクラシック発声で日本語を歌った場合に、声だけが鳴り響き、何を言っているのかさっぱり分からない日本のオペラに対して、「日本語をきちんと伝えられるオペラを上演できる劇団を作りたい」という思いから作られた劇団で、
「こんにゃく発声」として知られている発声法で歌われます。劇団の名前の由来も、もちろんそこから来ています。
広島だけではなく全国に多くのファンを持つ劇団で、広島には「こんにゃく座を見る会」もあるほどです。
この12月に、おやこ劇場ひろしまの低学年例会「ロはロボットのロ」には、可部からも多くの会員さんが鑑賞に出かけていかれました。(本当に残念なことに、2年前から楽しみにしていた私自身は、仕事と重なってしまい涙を呑みましたが・・)
初めて「こんにゃく座」を見た人も多かったのですが、みなさん一様に「良かった!楽しかった!アステールの大ホールだったのに、言葉が全部聞き取れたよ!」と感動して帰ってこられました。
その、こんにゃく座の方から直接ワークショップを受けることが出来るのです!
対象年齢の子どもたちで、興味のある人は参加しなきゃ損!!
そして、まだこんにゃく座を見ていない方たちは、本当に、見なきゃ損!!
ぜひ、たくさんの人たちに声賭けをして、この公演を成功させましょうね。
<ニュースです!!>
その1 踊りたい!!みなさんへ
あの「ロック・ソーラン」の伊藤多喜男さんが、可部にやってくる!!
冗談ではありません。本当に伊藤多喜男さんが、可部にやってくるのです。
日程は2003年8月30日(土)会場は安佐北区民文化センター
いきさつ・・
来年は、安佐北区民文化センターの、開館20周年にあたります。
その記念事業の一つとして、「伊藤多喜男」さんのコンサートを企画されたのです。
その企画の段階で、区民センターから「もし、実現したら協力していただけますか?」という内々のヒアリングがありました。
私たちが、可部で鑑賞事業を続けていけるのも、区民センターが近くにあるおかげです。「出来ることは協力させていただきます」とお答えしました。
その後、「詳しい内容について、ご相談があるのですが。」と声がかかり、副委員長のKさん、以前「伊藤多喜男コンサート」を聞きに、竹原に行ったことのあるFさんと一緒に、伺いました。
結論としては、「ロック・ソーラン」を、ぜひ子どもたちに踊ってもらいたい・・というものでした。
このことは、ただ話題性だけではなく、地域の中で、区民センターが今後さまざまな事業を展開していくときに、これからの地域を担う青少年を視野に入れた活動を行っていくということは、とても大切なことだという視点での依頼でした。
また、今回の企画に対しては、広く一般に公募するのではなく、あくまでも、子どもネットワーク可部の表現活動の一環として実施して欲しいというものでした。
「ロック・ソーラン」については、現在“空”の子どもたちは取り組んでいませんので、今後は、“空”の活動ということではなく、前述のように、全体の表現活動の一環として、呼びかけていこうと考えています。
以前、春日先生との確執で、“空”が踊るのをやめる・・という結論を出したときに、伊藤多喜男さんは、直接事務所に電話してくださり「どうしてそんな可哀想なことをするのですか?踊りたい子は踊ればいいんですよ!躍らせてやってください!!」と言って下さいました。
しかし、当時の“空”の子どもたちは、気持ちも傷ついていたこともあり、もう一度踊ろう・・という気持ちにはならなかったのですが、それからの周囲の様子を見ていると、毎年のようにあちらこちらの小学校や中学校で、ソーランが踊られています。
伊藤さんのおっしゃるように、『踊りたい子には、躍らせてやりたい・・」と思うのです。
8月の公演に向けての、詳しい練習の日程や、練習会場については、後日お知らせしますが、踊りたい!と思っている子どもたちには、ぜひ教えてあげてくださいね。
その2 お芝居をしたい高校生たちへ・・
一蹟二跳の古城さん演出「肉体改造計画」上演決定!キャスト・スタッフ募集中!!
以前、高学年例会「醜形恐怖」で、広島にやってきたことのある劇団「一蹟二跳」の演出家古城さんが、東京などで、上演された「肉体改造計
画」が、3月21日(祝)青少年センターで上演されます。
この作品は、劇団のキャストと一緒に、オーディションで選ばれた高校生たちが、古城さんの演出の下、練習を重ねて舞台に上がるというもので、東京で上演されたときも大きな話題になりました。
今回は、社会福祉・医療事業団の助成金を受け、県センターの事業として行われます。
12月26・27・28日の3日間、古城さんを招いてワークショップを行い、最終日にキャストが発表されます。
3月の上演まで、練習スケジュールもかなりハードなものになりそうですが、自分を表現したい!と思っている高校生たちには、めったにないチャンスです。
また、当然ですが、裏方のスタッフも必要になってきます。こちらは、キャストのように年齢制限はありませんので、芝居経験のある方もない方も、子どもたちに協力して、一緒に舞台を作り上げていこう!という意欲のある方たちを募集しています。
2003年は表現活動の年?
このように、2003年の様々な企画は、子どもたちの表現活動を応援するものばかりです。
他者とのコミュニケーションのとり方が苦手な子ども達が増えている・・ということが、今大きな社会問題となっています。
表現活動は、まず、自分自身を解放するところから始まります。
自分自身を解放し、自分自身を認める=自己肯定感を達成できてはじめて、他者を認め、他者とのコミュニケーションをとることが可能になっていくのです。
子どもたちに、このような表現活動に参加できる機会をより多く作っていくことも、私たちの活動の大きな課題であるといえるでしょう。