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「あとむのみなさんに会ってきました!」
怒涛のように過ぎた総会…やっと無事に(?)終わったと思ったらもう巷では夏休み、今年も恒例の大阪行きの時期がやってきました。
恒例…といっても皆さんにはお分かりにならないでしょうが、4年前に42歳で亡くなった友人のご主人(彼はアマチュアとはいえ、プロも一目おくほどの素晴らしいギタリストだったのです)の追悼コンサートを毎年親しかった音楽仲間が開いていて、私も奥さんであるピアニストの友人と連弾をするために毎回参加させてもらっているのです。
そんなわけで、この3年間、私の夏休みはいつも、大阪行きで始まります。
昨年は、早朝広島を発ち、私の運転する小さな軽自動車に二人の息子を乗せて、えんやこら6時間かけて到着するとすぐにリハーサル、続いて本番…というハードスケジュールだったため、思うような演奏ができなかったので、今年は前日から大阪に入り、ちゃんと練習してから本番に臨むことにしました。
そんな大阪行きを2日後に控えて、いつものように事務所に顔を出した私に、「劇団あとむ」からのお便りが目に入りました。
5月の「あとむのお話コンサート」のお礼状とともに、劇団の広報誌「風の便り」が同封されており、7月8月の劇団のスケジュールも掲載されていました。
なにげなくその日程を見ていると『7月27日(土)笠置児童館』という予定があることに気がついたのです。
笠置…といってもあまりご存知の方はいないでしょうが、京都府の南の端、奈良県との県境に近く、三重県にも近いという山の中で、いわゆる京都というイメージではなく、はっきりいって田舎なのですが、(笠木の皆さんごめんなさい)大阪で育った私にとっては、父親の職場が近くにあり、何度も川遊びや山登りに出かけたことのある、思いで深い地名だったのです。
27日といえば大阪に行こうと思っていた日です、思わず東京のあとむの事務所に電話して、『何時からですか?会場近くの地図はありますか?』と問い合わせていました。
電話に出てくださった秋山京子さんは「絶対絶対来てくださいね、みんな大喜びしますから!」と言ってくださり、わざわざ会場付近の地図をファクスしてくださったのです。
開演は13:30、大阪まで約5時間、そこから生駒山を越えて1時間…朝7時に出発すれば間に合うかな…と、笠置行きを決めたのでした。
ただ、今回は、10日前に免許を取ったばかりの長男のこれまた2日前に届いたばかりの車での大阪行き…
ちょっぴり不安を抱えながらの出発です。
『私が運転するから…』というのに『僕が運転する』と張り切る息子に押し切られ、はらはらドキドキしながらも何とか無事に大阪へ到着、高速を降りてからは、交代しようね。と言っていたのに、結局最後まで息子がハンドルを握り、途中思わぬ渋滞に巻き込まれ、笠置に着いてからも会場の場所が良くわからずに、間に合わないかも!とあきらめかけたのですが、開演10分前に滑り込みセーフ。
小さな小さな児童館の入り口で待ち構えていてくれた劇団の方に秋山さんの言葉どおり大歓迎で迎えられ、
でもゆっくりお話をする暇もなく、開演。
「今日はゆっくり見て行ってくださいね」と、会場に案内される。「今日はどこからでも良く見えますよ。」と言われたとおり、会場のホール(といっても公民館の研修室くらいのスペース)にこしらえてある、こじんまりとした客席には20人くらいの子どもたちとお母さんが待っていました。
「え〜っ!これだけ?」と内心驚いたのですが、後から聞くと今回の公演は、厚生省の企画で全国の児童館を巡回して回るというものなので、会場によって、子どもたちの人数もさまざまだということ、中には乳幼児ばかり300人近く…というすごい会場もあったそうで、劇団のみなさんも「毎回状況把握ができないんです。」と笑っていました。
さて、公演は…というと、あとむが長年取り組んできた「あとむの時間はアンデルセン」を児童館向けに少し短くして途中に遊びバージョンを組み込んだ「あとむの遊びはアンデルセン」という演目。
さすがに練り上げられている作品だけに、危なげない滑り出し…なのですが、観客の反応がいまいちはっきりしない、開演後もぱらぱらと入ってこられた人も含めて30人近くにはなったのですが、集中して一生懸命見ているわりには、拍手のタイミングや、あとむのみなさんからの声かけに対する子どもたちの反応が、可部では考えられないくらいに物足りない。
「これは、普段、生の舞台に触れていないな…」という私の想像通り、後から聞くと、ほとんどの子どもたちが今回初めて生の舞台に出会ったとのこと、「やっぱりね。」と妙に納得した私でした。
そんなこんなで、最初はお客さんとしてゆっくり見せてもらおう…と思って座っていたのですが、どうしても子どもたちの反応や会場運営が気になり、また、硬いお客様の前ですご〜くテンションをあげて熱演している劇団の皆さんの様子に、思わず身内のような気持ちになってしまい、可部で見るよりももっと肩に力が入ってしまった1時間20分でした。
これから京都・兵庫と7月8月を児童館を巡演されるという劇団のみなさんに、心から「がんばって!」とエールを送って、笠置を後にしたのでした。
そして、普段は劇場主催の舞台にばかり触れていたわたしにとっては、今回の出会いは「すべての子どもたちに生の舞台を届けたい!」という思いで児童演劇に取り組んでこられた「あとむ」のみなさんの原点を改めて感じることができ、また、分かりきっていたはずの、私たちの活動のミッションについても改めて考えることのできた貴重な時間になりました。
そうです、待っている子どもたちは、絶対にいるのです、私たちのできることは限られているかもしれないけれど、一人でもたくさんの子どもたちに、この感動を味わってもらうことができるようにがんばらなくちゃ!